建設業法・入契法改正とは?公共工事・建設業者に与える影響をわかりやすく解説【令和7年12月12日施行】
「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」
の改正規定について、令和7年12 月 12 日から完全施行されております。
今回の法改正は、単なる制度変更ではなく、
「建設業の担い手確保」を大きな目的として、
- 労働者の処遇改善
- 資材価格高騰時の適正な価格転嫁
- 長時間労働の是正
- ICT活用による生産性向上
といった、現場と経営の両方に直結する内容が盛り込まれています。
この記事では、建設業者の方向けに、
「結局、何がどう変わるのか?」を整理していきます。

1.今回の法改正の背景
建設業界では、以前から次のような課題が指摘されてきました。
- 他産業と比べて賃金水準が低い
- 就労時間が長く、若手の担い手が確保しにくい
- 資材価格の高騰が労務費にしわ寄せされやすい
- 2024年以降の時間外労働規制への対応が不可避
これらの課題を放置すれば、
「地域の守り手」としての建設業の役割が将来にわたって維持できない
という危機感が、今回の法改正の出発点です。
2.改正のポイント① 労働者の処遇改善
建設業者に「処遇確保」の努力義務
改正法では、建設業者に対し、
労働者の適切な処遇を確保することが努力義務として位置付けられました。
また、国はその取組状況を調査・公表することとされており、
今後は「どの会社がどう取り組んでいるか」が、
より可視化されていく流れになります。
労務費の基準を国が示す
中央建設業審議会が
「労務費の基準」を作成・勧告する仕組みが導入されます。
これにより、
- 著しく低い労務費による見積り
- 低額見積りへの変更依頼
といった行為が、発注者・受注者双方に対して禁止されます。
さらに、
不当に低い請負代金での契約締結そのものも禁止される点は、
元請・下請を問わず重要な変更点です。
3.改正のポイント② 資材高騰と価格転嫁への対応
リスク情報の事前通知が義務化
資材価格の高騰など、
請負代金や工期に影響を及ぼすリスクがある場合、
👉 受注者は、契約締結前にその内容を発注者へ通知する義務
を負うことになります。
「後から言っても聞いてもらえない」
という構造を是正する狙いがあります。
契約書に「変更方法」を明記
資材価格が変動した場合に、
- どうやって請負代金を変更するのか
- 協議の方法はどうするのか
といった点を、契約書の記載事項として明確化することが求められます。
発注者側にも、
リスク発生時に誠実に協議に応じる努力義務が課されます。
4.改正のポイント③ 働き方改革と生産性向上
著しく短い工期での契約を禁止
長時間労働を助長するような
無理な工期設定による契約締結は禁止されます。
これは、
「工期が短い=現場が回らない=サービス残業」
という悪循環を断ち切るための措置です。
受注者側にも、著しく短い工期による契約締結を禁止することが盛り込まれております。
ICT活用による規制合理化
ICTを活用することを前提に、
- 現場技術者の専任規制の合理化
- 公共工事における施工体制台帳提出義務の見直し
などが進められます。
国は、
ICT活用による現場管理の指針を作成し、
特定建設業者や公共工事受注者に対し、
効率的な現場管理を行うことを努力義務化します。
5.建設業者が今後意識すべきポイント
今回の改正を踏まえると、今後は次の点が重要になります。
- 見積書・契約書の内容がより厳しくチェックされる
- 労務費を削って受注するやり方はリスクが高まる
- 資材高騰時の説明・記録を残すことが重要
- ICT活用や業務効率化が、実質的に必須になる
「今まで通りやってきたから大丈夫」では通らなくなる
というのが、今後意識すべきポイントです。
まとめ|今回の法改正は「現場と経営の両立」を求めるもの
今回の建設業法・入契法改正は、
単なる規制強化ではなく、
- 働く人を守る
- 適正な価格で仕事を回す
- 業界を持続可能にする
という方向に、建設業全体をシフトさせる内容です。

公共工事に関わる事業者はもちろん、
民間工事中心の事業者であっても、
今後の契約実務や行政指導に影響が出てくる可能性があります。
「うちは関係ない」と思わず、
早めに内容を把握し、体制を整えておくことが重要です。