塗装工事業の建設業許可

一般建設業・特定建設業の違いと
専任技術者・経営業務管理責任者(経管)要件を徹底整理
※他の業種については以下の記事で解説しています
結論

塗装工事業の建設業許可は、
- 一般建設業・特定建設業ともに、実務経験を基礎に許可取得が可能
- 特定建設業であっても、一級国家資格が必須とは限らない
- 専任技術者と経営業務管理責任者(経管)は、一般・特定を問わず必須
という特徴があります。
実務上の最大の注意点は、
「防水工事・左官工事・内装仕上工事との業種区分」と、
特定建設業における指導監督的実務経験の立証です。
1.塗装工事業とは

塗装工事業とは、
塗料・塗材等を工作物の表面に塗布し、保護・美観・防食等の機能を付与する工事をいいます。
代表的な工事例
- 建築物の外壁・内壁塗装工事
- 鉄骨・鋼構造物の防錆塗装工事
- 橋梁・タンク・プラント設備の塗装工事
- 吹付塗装工事
- ライン塗装(区画線等)工事
※ 下地補修が付随しても、主たる目的が塗装であれば塗装工事
※ 防水性能を主目的とする場合は「防水工事」に該当する可能性あり
2.建設業許可の区分(一般建設業/特定建設業)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 一般建設業 | 下請工事・比較的小規模な元請工事 |
| 特定建設業 | 元請として4,500万円以上の下請工事を出す場合 |
※ 塗装工事業は指定建設業ではありません
3.専任技術者の要件【一般建設業】

営業所ごとに、常勤の専任技術者を配置する必要があります。
① 実務経験による要件
- 塗装工事に関する実務経験10年以上
- 学歴・資格は不要
※ 塗装作業だけでなく、工程管理・品質管理・安全管理への関与が重視されます
② 指定学科卒業+実務経験
指定学科例
- 建築学
- 土木工学
必要な実務経験年数
- 大学・高等専門学校卒:3年以上
- 高校卒:5年以上
③ 資格による要件
以下の資格を保有していれば、
実務経験年数の証明は不要です。
- 1級建築施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
- 2級建築施工管理技士
- 2級土木施工管理技士
- 技能検定 登録標識・路面標示施工
- 技能検定 建築塗装・建築塗装工
- 技能検定 噴霧塗装
※技能検定2級は実務経験が3年必要
4.専任技術者の要件【特定建設業】
前提
塗装工事業は指定建設業ではないため、
特定建設業=一級国家資格必須とは限りません。
① 資格で申請する場合
- 1級建築施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
② 指導監督的実務経験で申請する場合
次のすべてを満たす必要があります。
- 一般建設業の塗装工事業における専任技術者要件を満たしている
- 請負金額4,500万円以上の塗装工事
- 元請として
- 2年以上
- 指導監督的立場で施工管理を行った実務経験があること
※ 工程・品質・安全・下請管理を総合的に統括している必要あり
※ 単なる塗装作業員、名義上の現場責任者は不可
5.経営業務管理責任者(経管)の要件

共通ルール
- 一般・特定を問わず 必須
- 塗装工事業に限らず、建設業全体での経営経験を評価
- 専任技術者との 兼任は可能
① 建設業の経営経験5年以上
以下のいずれかの立場で、
建設業の経営に5年以上関与していること。
- 法人の常勤役員
- 個人事業主
- 支配人
※ 他業種(防水工事、建築一式等)との合算可
② 経営経験+補佐経験の組み合わせ
- 建設業の経営経験:2年以上
- 建設業における経営業務補佐経験:3年以上
補佐業務例:
- 財務管理
- 労務管理
- 受注・契約管理 等
6.専任技術者と経管の兼任
- 制度上は 兼任可能
- ただし、常勤性・業務実態・工事件数は厳格に審査されます
7.軽微な工事(許可不要)
塗装工事の請負金額が
500万円未満(税込)の場合、建設業許可は不要です。
ただし、
- 元請として継続的に受注する
- 公共工事・大規模修繕を視野に入れている
場合は、
早期の許可取得が実務上有利です。
8.実務上の注意点

- 「防水工事」「内装仕上工事」との区分ミスが多い
- 主たる目的が塗装か、防水・仕上かが判断基準
- 特定建設業では
4,500万円以上・元請・指導監督の立証が最大の山
結論(再整理)
塗装工事業の建設業許可は、
- 一般建設業:
職人経験を活かしやすい - 特定建設業:
大規模元請経験があれば、資格なしでも取得可能性あり
という構造です。
許可実務で最も重要なのは、
業種区分の正確な整理と
専任技術者・経管要件を混同しないことです。